今日はバハマに来て二回目のオフ。
今回はちょっとマニアックな話題です・・・
ここ3日間で95mを3本。いいペースです。今回新たに試している調整方法ですが、やはり自分には合っているかもしれないと思っています。今までは90mに来たら95m、100m、105mと出来るだけ先へ先へと伸ばすような調整方法をとってきましたが、今回からは95mを何回も繰り返すことで耳抜きの方法のマウスフルテクニックを磨き、その先の深度に必要な耳抜き用の空気を口の中にいかに残すか、ということにチャレンジしています。当然空気がなければ耳抜きという作業は出来ません。今の状態で100m前後は可能ですが、100mを越えても空気を残すようなテクニックを磨かないと105m、110m、115m・・・というところは見えてきません。もし95mのボトムで口の中に、耳抜き一回分の空気があれば100mー105m、二回分の空気があれば105−110m、三回分の空気があれば115−120mというところへ行くことができるでしょう。あくまでも個人的で感覚的な計算ですが。。。とはいえ、大事なスキルはボトムにおいてではなく、30−40m、そして50−70mというところでの所作にあります。どのようにして空気を口の中へ持ってきて確保しておくか、ということが最も大切なので実際に105−110mをいつも潜ろうとする必要はありません。いつも95mのボトムにタッチし、口の中の空気の残り具合を確認し、どの深さのどのテクニックがうまくいっているか、または足りないのかを探っていく方がより安全で効率の良いコンディショニングといえるでしょう。この方法が今回から初めて試している新たなコンディショニングなのです。
自己ベストを狙う時はどうしても記録、数字のことにフォーカスしてしまうため、体が堅くなったり、大事なテクニックを忘れてしまいがちです。しかし、今の自分にとって安全のマージンを十分に確保できる95mなら数字や深度のことは忘れて必要なテクニックのみに集中できます。水面から40mまでにすべきこと、そして50mからすべきこと。。。すべてはそこでのテクニックにかかってきます。30mからはフリーフォールでボトムまではキックを止めて落ちていくだけ・・・に見えますが、実は口、あご、腹部では連動して、100mを越えたところでもしっかりを耳抜きが出来るように空気を確保するための非常に緻密で地味な作業を行っているのです。
したがって、いやというほど95mを繰り返して本番前に100m+を1、2本でいいと思います。100mダイバーが110mに手を伸ばそうとしている横で地味に日々95mを繰り返すのはなんとも12気圧の誘惑に駆られそうな気もしますが、大切なのは予選と決勝の二本。ワンミスが命取りともなりかねない100mオーバーで来る日も来る日もプッシュし続けるのは心身共に疲弊しきってしまいます。本番前にバーンアウトしないためにも自分にとってはこのやり方が非常に有効なコンディショニングになるだろうと実感しています。
ちなみに分かる範囲でトップ選手のコンディショニングを見ていくと、、、
122m by マーティン
100、105、110、115、119mとトレーニングで5m単位で伸ばして
本番では+3mで成功。抜群の潜水能力にものを言わせたやり方。とはいえ比較的オーソドックスなやり方でしょう。驚くべきはスフェラ&ハンズフリーで122mを達成していること!
120m by ハーバート
3週間毎日休みなして98mをトレーニングで繰り返します。そして本番ではまず114m、3日後には120mを成功させています。111mと112mのときもそうでしたがいつもトレーニグレコードの+20mを本番で成功させています。かれのダイブプロファイルを見ると3kgほどのネックウエイトをつけているにも関わらず、スローなディセント。各深度で必要なマウスフルをきっちり行うためにスローディセントにしているのでは?または胸郭をリラックスさせて空気を出しやすくするために腕も伸ばさず体側につけているのでは?そのほうが空気の確保がしやすくなります。115−120mを越えていこうとすると彼のやり方がとても生きてくると思います。
113m by ギオム
60−100mまでは5m単位で伸ばし、100mを越えたら、103m、105mとマーク。その後は1−2m単位で微調整してターゲットまで持っていくスタイル。フリーダイビングの歴史を感じさせる、フランスチームらしいもっともオーソドックスなコンディショニングだと思われます。2006年には109m(当時自己ベストは111m)二年後に113m(ゲージでは実は110mだったとか?!)。このとき直前までのトレーニングレコードは108m。本番で+5mジャンプで成功。
109m by ウィリアム
100m、105m、107m、110mと2−3m単位で伸ばせるだけ伸ばしていくスタイル。そして練習では本番のターゲット希望深度の+3−5mほど潜っておかないと気が済まないようで・・・。このやり方は若さとパワーがあればのりきれますが、かなり心身ともに疲れます。
と、こんな感じです。フリーダイビングを初めて間もない頃、緊張しいのビビリが入っていた頃はウィルのようなやりかたでした。練習では伸ばせるだけ伸ばして本番では自己ベストマイナス5mくらいで余裕を感じながら潜るスタイル。時に自己ベストマイナス10m、という時もありました、、、。
去年と今年は“ギオムスタイル”で調整はかってきました。100mを越えたら1mずつにじり寄るスタイル。しかしこれは自分には向かない方法だと分かりました。。。一度大きめの自己ベストが出ると心身ともに満足し、疲れてしまうのです。本番前にバーンアウトしてしまうとせっかくうまく仕上げてきても本番で気持ちが切れてしまいます。オーソドックスなやり方が必ずしもベストとは限りませんし、それが通用する深度ではなくなってきているのだと思います。
そして今回は今までの反省点をいかして“ハーバートスタイル”を主軸に“ギオムスタイル”をミックスした“ハイブリッドスタイル”で新たなコンディショニング方法を取り入れてみようと思います。